放置竹林への取り組み繁殖力の強い竹は、適切に管理しなければ生物多様性に悪影響を与え、土砂崩れなどの危険にも繋がります。生活環境の変化とともにその役割を奪われた多くの竹が、放置竹林となっているのが現状です。 全国各地で広がる放置竹林問題について近年、日本各地で手つかずの竹林=放置竹林が、「竹害」として大きな社会問題になっています。 かつては里山で竹材や筍を収穫するために管理されていた竹林が、生活環境の変化とともにその役割を奪われて放置された結果、繁殖力の強い竹が増殖し他の樹木や植物の光合成を妨げ、生態系を壊す要因となっています。 竹の過密化が進んだ竹林では、枯死した竹「立ち枯れの竹」が倒伏し、中に入ることができないほど荒廃しているのが現状です。そのため、放置竹林を整備し、竹を伐採・産業利用する試みが各地で行われています。 私達の生活圏に身近に存在していた森林が、竹に浸食され気が付くとほとんどが竹林になってしまっている風景も珍しくありません。 竹の地下茎(根)は網目のようにどんどん伸びて張り巡らされるため、地下茎が存在するのは主に地表30cmほどに集中しています。そのため、地表の土が流出しないように留めておくことは可能ですが、地下30cmよりも深い部分の土を留めておくことができません。 竹林に覆われた斜面の場合、大雨による土砂崩れが起こった時には竹林ごとごっそり崩れてしまう可能性もあり、さらに竹の地下茎は竹の幹や葉よりも早く枯れてしまう為、放置竹林では土を抱え留める力がさらに弱っり土砂崩れの危険性が高くなります。 淡路島の放置竹林から作られる「APD竹エキス」竹の効能にこだわり続ける弊社の取り組みに共感して頂いた淡路島で放置竹林の整備事業を行っているNPO法人「淡路島環境整備機構」にご協力をいただき、放置竹林の中から弊社が指定する条件に合う竹を伐採し、さらに特定の大きさに粉砕して頂いたものを原料としてご提供頂いています。 研究過程で必要となる様々な条件の竹を提供していただけたことが、その後の成功と大きな発見へとつながることになりました。 エキス製造の失敗から得た「枯れた竹」という答え2019年3月に「IL-33発現抑制剤の製造方法(特許第6487613号)」で特許を取得した後、いよいよ製品化する段階で、同じ品質のエキスが再現できない状況に陥ってしまいました。 「なぜできなくなってしまったのだろう...?」 と、全ての製造工程を一から見直しました。その結果、製造条件はなに1つ変わっていなかった中で、唯一違っていたのが「竹の年齢」でした。 つまり、どのような竹でもいいわけではなく「ある特定の条件の竹から抽出したエキスにのみ効果がある」ということが判明しました。 そこで先述のNPO法人の方の協力を得て、様々な条件下の竹を伐採してエキスを抽出し、それぞれの効果を比較したところ、APD竹エキスの力が最大限に発揮できる竹の状態は「立ち枯れた竹」ということがわかったのです。 それはまさに、日本各地で問題とされている「放置竹林の竹」でした。森林保護の観点では厄介者である立ち枯れた竹が、アトピディアには必要不可欠な材料であり資源へとなり得ることが明らかになりました。 立ち枯れの竹が上質な「竹エキス」に生まれ変わる放置竹林を減らすための一つの方法として、竹の有効活用が強く求められている中、この発見は大きな驚きと希望をもたらすものでした。 このエキスの開発にあたり、放置竹林や環境保全といったことを当初から意識していたわけではありませんでした。 竹のもつ効果を信じ研究を続けてきた結果、意図せず偶然たどり着いた答えでしたが、まるで竹からの贈り物をもらったような、背中を押してもらったような心持ちになり、より一層研究への思いが強まりました。 その思いを胸に、アトピディアは今後も竹を使ったスキンケアの研究を続けることで、竹に秘められた効果をさらに生かすため努めてまいります。 それが、竹からの恵みをいただいているアトピディアができる竹への恩返しになると信じています。 |